着うたフルが登場してみると、まさに地殻変動ともいえるくらい、携帯電子機器の世界が変わってしまったことに気づきます。それまで、外へ出るためには、携帯電話とウォークマンというのが、持ち運ぶものの定番ともいえるものでした。ところが着うたフルが登場してしまったために、ウォークマンを持ち歩かず、携帯電話ひとつでいい、ということになってしまったわけです。さらに携帯電話は、お財布の世界までも侵食し、またデジカメの世界も侵食し、携帯電話ひとつあれば、何でもできるようにしてしまいました。
しかし実際のところ、携帯電話は、高度なコンピュータなのですから、それも当然のことでしょう。コンピュータを2つも3つも持ち歩く必要がないというのは、言うまでもないことです。そこで競争が起こり、携帯電話が勝ったということだったわけです。
おかげでウォークマンは、今ではほとんど利用する人がいなくなってしまいました。現在では、さらにアイフォンが登場し、日本でも携帯電話の市場を食い荒らし始めています。携帯電子端末の競争は、とどまるところをしらないようです。
そしていよいよ、着うたフルが登場することとなりました。着うたフルは、ご存知のことだと思いますけれど、一曲丸ごとをダウンロードして、それを携帯電話で聞けるサービスのことです。着メロが登場した瞬間に、もう着うたフルまでの道筋は、描かれていたというべきでしょう。
着うたは、着信音やアラームに使うことを前提としていましたから、30秒か、いいところ1分程度の長さしか必要ではありませんでした。しかし言うまでもなく、利用者にとっては、そんなちょっとで終わってしまうのではなく、1曲丸ごとが聞きたいと思うに決まっています。ですから着うたがスタートして、そう日が立たないうちに、着うたフルもスタートすることになったのでした。
これはしかしもちろん、CD業界などから猛反発があったことでしょう。着うたの場合には、まだ着信音のかわりでしたから、CD業界にとっても、携帯電話業界が、自分のところとバッティングすることはなかったわけです。ところが1曲丸ごとをダウンロードできるということになってみれば、携帯電話が、まさしくCDの競争相手となってしまうことになるわけです。実際ダウンロードがどんどん身近になっていくに従って、CDは衰退してきています。しかしこれは時代の流れですから、仕方のないことでしょう。
着うたは、着うたフルの前段階となるわけですが、これが登場した時も、ほんとに画期的でした。なにしろそれまでは、メロディーを奏でるといっても、まだ電子音のメロディーでしかなかった着メロが、今度は実際に、その曲を歌っている歌手そのものが、携帯電話で歌いだすわけですからね。自分のお気に入りの歌を登録しておけば、電話がきた時でも、メールが来た時でも、その歌手の声で知らせてくれることになるわけですし、さらに朝の目覚ましを、着うたでかけておけば、モーニングコールを、お気に入りの歌手がしてくれることになる。こんないいことは、なかなかないわけです。
楽曲を作る側にしても、これはもちろん、いいことなわけですよね。ただの着メロなら、著作権料は、その曲を作った人にしか入らない。しかし着うたになれば、曲のほかに、作詞、そして歌手にも著作権料が支払われることになる。こうして、より多くの人がうるおい、しかも利用者は喜んでくれるわけですから、万々歳というわけでしょう。着うたもあっという間に広まっていくことになりました。
しかしもちろん、これも着うただけにとどまることはありませんでした。着メロが登場した瞬間に、必然とされた道を、歩みだしたんですね。
それで日本人は、携帯電話が登場しても、ただ味気ない電子音がなるのじゃなく、もう少し人間らしい、気の効いたことをさせたいと思った。それで着メロが登場し、その先に着うた、そして着うたフルルが登場してくることになったわけなんですよね。
着メロだって、かなり画期的な事件でした。携帯電話が、メロディーを奏でるなど、それまで考えてみたこともありませんでした。しかしそうやって、携帯電話がメロディーを奏でるようになってみると、誰もが自分の好きな曲を登録しようとしたわけです。よくシーンとしている教室などで、スターウォーズのテーマがガンガン流れ始めるなどということも、今となっては懐かしい思い出です。
携帯電話会社の方も、携帯電話を売って儲けて、通話料で儲けて、さらに着メロで儲けることができるなら、これほどいいことはないですから、着メロは、一気に広がって行きました。おかげで携帯電話が、ただ電子音しか鳴らないなどということは、誰にとっても、まったく考えられなくなってしまったわけなですよね。
しかし着メロは、もちろんそれで終わりませんでした。さらなる進化を遂げていくことになったんですね。それが着うたでした。
着うたフルといえば、携帯電話で、一曲丸ごとの音楽が聞けるサービスのことですよね。これはほんとに、画期的なサービスだといえるでしょう。
着うたフルは、元々は、「着メロ」から始まったわけなんですよね。携帯電話の着信音といえば、携帯電話が登場した頃には、味気ない電子音のものしかなかった。べつにもちろん、携帯電話が十分便利なものでしたので、はじめのうちは、それで不満もなかったわけですよね。しかし日本人は、やっぱり細かな配慮をする国民性なのでしょう。電子機械を、ただ電子機械のまま、放っておくことができないわけですよね。どうしてもそこに、人格を求めてしまう。日本にロボット物の漫画が多いのも、それと関係しているのじゃないでしょうか。海外には、スーパーマンだの、スパイダーマンだの、超人物のコミックは多いわけですが、ロボット物のコミックは、あまり見かけないのじゃないでしょうか。それにたいし、日本はロボット物の漫画がものすごく多い。そのすべてが、ロボットに人格を求めるものとなっているわけですよね。
電話も同じで、昔の人はよく、電話を敷物の上においたりしていたものでした。実用性一点張りじゃ、日本人は我慢出来ないんですね。
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